基地問題に新たな展開、橋下知事「基地移設で優先順位高いのは関西」


普天間基地の移転に関して、大阪の橋下知事が先月に続いて「基地移設で優先順位高いのは関西」と述べ、基地問題に新たな展開が出てきた模様です。


http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100513-OYT1T00982.htm

沖縄県の米軍普天間飛行場の機能や訓練の分散移転に向け、鳩山首相全国知事会に協力を求める意向を示したことを巡り、大阪府橋下徹知事は13日、「受け入れの優先順位が高いのは、米軍基地のない地域。一番高いのは関西だ。政府から要請があれば、関西で回答を出さないといけない」と述べ、関西での受け入れを検討すべきだとの考えを示した。


橋下と言えば弁護士には珍しく保守的な立場の発言が多いことが知られていますが、今回の発言も国益重視の観点のものからと思われます。


筆者は、「海兵隊には報復力がなく、海軍とも違い抑止力なし」の立場で、そもそものアメリカの計画でもあった海外移転で構わないのではないかと思っています。
海兵隊のグアム移転こそがアジア太平洋地域の抑止力になる」というアメリカ側の公文書も複数存在しています。


http://diamond.jp/articles/-/8115?page=3
米国自身が普天間からグァムへの移設を求めていた

米国自身が普天間から
グァムへの移設を求めていた

 そしてまさしく宜野湾市の独自調査によって、日米政府の新たな「密約」が明らかになっている。

〈2006年9月に本市が入手した米太平洋軍ホームページで発表されたグァム統合軍事開発計画によるとその内訳は司令部機能が2,800人、地上戦闘機能が2,900人、後方支援機能が1,550人、航空戦闘機能が2,400人と発表されている。

 また2007年7月に中部市町村首長らによるグァムの米軍基地視察調査を行った際には現地司令官よりアンダーセン空軍基地では、65〜70機の海兵隊航空部隊と海兵隊航空戦闘部隊1,500人の移転に向けての施設整備が予定されると説明があり、グァム政府の資料では、第31海兵遠征部隊(31MEU)の海兵隊員2,000人を含め、海兵隊司令部だけでなく地上戦闘部隊、航空戦闘部隊、戦闘支援部隊、その他の応援部隊がグァムに移ると想定されていることが判明している。



http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/091126_mayor_5.pdf
普天間基地のグアム移転の可能性について」伊波洋一宜野湾市長)



一方、保守層では、日米安保との関連から「海兵隊には抑止力がある」としていますから、『沖縄は国土面積の0.6%を占めるにすぎないが、そこに日本の米軍基地面積の75%が集中』という異常な状態にある沖縄の負担を減らし、且つ国内で沖縄ばかりにのみ偏在することなき米軍基地を目指すには、保守的な立場の政治家や地域や国民が率先して手を上げて国に協力すべきなのです。


ところが、政党Jから出てくる発言は、基地の負担を沖縄に押し付けることをやめない辺野古案ばかりで、利権や既得権益を保守する政党色が丸出しでした。
この問題は当初の普天間返還予定では1996年から5〜7年以内にとっくに片付いているはずですから、鳩山を責められたものではありません。
橋下の発言こそが、まさに保守としての立場からの建設的な意見でしょう。


現政権も、ジャパンハンドラーズを交渉の窓口にし続けているのは大失敗でして、米兵による女子小学生強姦事件やヘリ墜落事故を訴える相手を間違えています。
過去に普天間移転問題を調整してきた官僚とジャパンハンドラーズが話をすれば、似たような案にしかならないのは当たり前です。


基地問題アメリカ側ではほとんど報道がなく、関心は非常に薄いのです。
ですから、日本でこんな大騒ぎになっていることすら、多くのアメリカ国民は全く知らないでしょう。
唯一の超大国であるアメリカの多くの世界中の基地で、沖縄の普天間基地などアメリカ政府からすれば非常に小さなものです。
地政学的にも、沖縄に偏在させる意味はありません。
事を複雑にしているのは、日本を脅して屈服させることでポストに留まっているジャパンハンドラーズと、利権や既得権益を保守する政党Jです。


この問題は、沖縄の負担軽減という観点から、前政権下とは交渉者を一新して移転先を県外で継続して進めるべきではないでしょうか。
5月中という拙速すぎる決断は、沖縄県民も望んでいないと思います。


(文中敬称略)